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第3章 紫陽花のため息

…返事はない…か…。

講義を終え、研究室に戻った柊司はスマートフォンの画面を立ち上げた。
そこに浮かび上がってきたメッセージは出版社からの執筆の依頼、友人からのメールが数件…それだけだった。

…突然、何かに突き動かされるかのように柊司は澄佳に告白をした。
貌も見たことがない…ネット上でフリマのやり取りをしただけの関係…。
けれど、その彼女に強く惹かれた。
堪らずに告白した。
生まれて初めての告白であった。
理由など、柊司にも分からない。
気がついたら、好きだと告白してメッセージを送っていた。
めちゃくちゃだ。
嫌われて当たり前だ。
頭がおかしいと思われても当然の行為をした。
…いや、運営事務局に通報されてもいいくらい、常軌を逸した行為だ。
澄佳は怯えているかもしれない。
見知らぬ男に、いきなり告白され…。
不気味に思っているに違いない。

…あれから三日が過ぎようとしていた。


ため息を吐き、コーヒーを作りに立ち上がる。

…デスクに置いたスマートフォンが点滅した。

メッセージを受信したサインであった。