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インピオ
第5章 猪俣商店
「ねえとおる、そっちの食べさせてよ」
「うんいいけど。じゃあ柚希のもちょうだい?」
「いいよ、ほら!!」
小学生になりたての頃、一年生の六月下旬。
学校の近くに猪俣商店と言う駄菓子屋があった、子供の二人はお小遣いをもらうとここでお菓子を食べながら備え付けられているアーケードゲームをするのが定番コースとなっていたのだ。
買ったものは大抵、二人で分け合って食べた、味のチョイスのうまい柚希の影響で透も段々と美味しいモノや彼女の好みが理解できるようになっていった。
「ねーこのガムさ、もっといっぱい入っていてほしいよね」
「うん。あと二、三個くらい欲しいね」
「ねえこれ出来る?プゥー・・・!!」
そういうと柚希は口の中で噛んでいたガムを風船状にして膨らませるが、幼い頃の透にはこれがやたら面白く見えた、まだ自分ではうまく膨らませられなかったことも手伝って“もう一回、もう一回”と柚希に何度かお願いする。
「ガムあげるから自分でやんなよ」
「クチュクチュクチュクチュ、フゥゥゥーッ!!やっぱ出来ない」
「こうやんの!!」
三回ほど連続でリクエストに応えた後で柚希は持っていたガムを二個ほど彼に渡してやり方を教え込んだ。
繰り返して練習するうちにようやく自分でも出来るようになった透はその後しばらくは風船の膨らませっこをして遊んでいたが、やがて飽きてきてしまった。
ちょうど柚希もそうだったのだろう、そのタイミングで彼女が“木登りしよう”と言ってきたために、二人は自転車を近くに止めて小学校の校庭の隅にある大きな銀杏の木へと向かって駆け出して行った。
この頃の柚希はとても活発で元気な女の子だった、上は白の半袖Tシャツに下は明るいクリーム色のショートパンツと言うラフで動きやすい格好だったから平気で木登りや追いかけっこ、鉄棒などで遊ぶことが出来たのだ。
「うんいいけど。じゃあ柚希のもちょうだい?」
「いいよ、ほら!!」
小学生になりたての頃、一年生の六月下旬。
学校の近くに猪俣商店と言う駄菓子屋があった、子供の二人はお小遣いをもらうとここでお菓子を食べながら備え付けられているアーケードゲームをするのが定番コースとなっていたのだ。
買ったものは大抵、二人で分け合って食べた、味のチョイスのうまい柚希の影響で透も段々と美味しいモノや彼女の好みが理解できるようになっていった。
「ねーこのガムさ、もっといっぱい入っていてほしいよね」
「うん。あと二、三個くらい欲しいね」
「ねえこれ出来る?プゥー・・・!!」
そういうと柚希は口の中で噛んでいたガムを風船状にして膨らませるが、幼い頃の透にはこれがやたら面白く見えた、まだ自分ではうまく膨らませられなかったことも手伝って“もう一回、もう一回”と柚希に何度かお願いする。
「ガムあげるから自分でやんなよ」
「クチュクチュクチュクチュ、フゥゥゥーッ!!やっぱ出来ない」
「こうやんの!!」
三回ほど連続でリクエストに応えた後で柚希は持っていたガムを二個ほど彼に渡してやり方を教え込んだ。
繰り返して練習するうちにようやく自分でも出来るようになった透はその後しばらくは風船の膨らませっこをして遊んでいたが、やがて飽きてきてしまった。
ちょうど柚希もそうだったのだろう、そのタイミングで彼女が“木登りしよう”と言ってきたために、二人は自転車を近くに止めて小学校の校庭の隅にある大きな銀杏の木へと向かって駆け出して行った。
この頃の柚希はとても活発で元気な女の子だった、上は白の半袖Tシャツに下は明るいクリーム色のショートパンツと言うラフで動きやすい格好だったから平気で木登りや追いかけっこ、鉄棒などで遊ぶことが出来たのだ。