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第53章 下村

すると柚希が「どうやら紗里ちゃんがスカウトされても断っているらしいのよ」と答え更に「他の嬢達が言うには私に義理立てての事だと…」と言うので茜が『そういえば紗里ちゃんもかつては柚希はんの子供やったな…』と言うので柚希が「ええ…どうやらその時の恩返しらしいのよね」とお茶を飲むと「ありがたいのもあるけど、いつまでも紗里ちゃんがクイーンだと他の嬢達のモチベーションやお客様にも飽きられることもあるから、どうしたものかしら？」と茜に同じ経営者として聞いたので茜が『ホナ、紗里ちゃんには役職を付けて引退させたらエエんとちゃう？』と返すと「役職って？」と聞くので茜が『例えば、ウチの店のように店長にするとか、一時的に経営を任せてみるとか…』と答えると柚希は「経営は難しいから店長ってのは良いかも。でも人気があるからリピーターが…」と言うので茜が『それやったら年に何回か特別イベントとして紗里ちゃんを現役で復活させたらエエやん。それならリピーターも喜ぶやろうし、現役の娘達とも穏便やろ？』と柚希の空いたカップに紅茶を注ごうとすると柚希はそれを断って「ありがとう、茜ちゃん。早速帰って紗里ちゃんと話してみるわ」と携帯を取り出すと紗里にメールをして慌ただしく帰って行った。それから数日後に柚希のデリヘル店のサイトでは紗里の引退の発表とそれに変わるクイーンの発表がアップされていた。その発表を知った下村は宮内に「なぁ、紗里さんの引退ってのは本人の希望なのか？」とある日聞いていた。宮内は「僕はお店の事は全く関わっていないからわからないよ」と答えると下村は「そっか、そうだよな…、ごめんな…」と肩を落として帰って行った。茜がそのやり取りを偶然聞いていたので宮内に『柚希はんは今日迎えに来るんか？』と聞くと宮内は「いえ、忙しいみたいで違う人が…」とそこで紗里の名前が出てこなかったので茜は紗里のリピーターの予約に追われているのだと理解した。すると宮内が「じゃあ僕も着替えて帰りますので、お疲れ様です」と茜に頭を下げて言うので茜も『あぁ、お疲れさん』と答えると宮内は茜の部屋へと向かった。下村は店を出てから紗里の予約をするが生憎と予約を取れなかった。やはり引退発表から予約が殺到していたので下村は仕方なく違う嬢を指名した。