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歳下の悪魔
第8章 切なさと思い
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
「優華ってー。最近、変わったよねー?」
仕事終わりに美月と2人で行ったのは、いつもの居酒屋。
期間限定のサワ―を呑みながら、顔を覗き込まれた。
「何が?」
会社での私は、何も変わっていないはず。表の顔のままだから。
「最近さぁ、和真くんとよく話すじゃん? 前は避けてる感じだったのにー」
「ん……。慣れたのかな。人見知り、する方だし……」
表の顔の私はそう。大人しくて真面目。和真しか裏の顔を知らない。
「そっかぁ。そうだよねぇ。慣れるまで三ヶ月もかかるなんて、優華らしいねー」
美月さえ知らない裏の顔。
私と和真が拘束プレイを楽しんでいるなんて、想像もしないだろう。
「今週は、疲れたねー」
実際、今週は仕事量が多かった。盆休みを前に、一課が頑張っているせい。運ばれる食品の数が多くなれば、私達二課も忙しくなってしまう。
いつものことでも、二課の稼働量は一課次第。
「和真くん、本当にフリーらしいよぉ。狙っちゃえばー?」
「やめてよ。10歳も下じゃない」
自然に笑って見せる。
仲の良い美月さえ、私が裏の顔を持ったことに気付いていない。誰にも秘密だからこそ、スリルが加わっているんだろう。
でもそれも、今日で終わりを迎えるかもしれない。
挿入することを了承したのは、「最後くらいやってやろうか」という和真の考えだと思えて来た。
今日階段で話していた女性が、どんな相手なのか分からない。和真は呑みに誘っていたから、泥酔させて、私のように奴隷にする予定かもしれない。
嫌なことばかりが頭を巡る。
嫌なこと?
自分へ問いかけるように考えた。
私は、和真に好きにされるのが嫌だったはず。辱めを受け、いつも見張られている。
彼が離れていけば、私は自由になれるのに。
それとは裏腹に、淋しさを感じていた。
もうあんなプレイは出来ない。この先恋人が出来ても、普通のセックスで満足出来るだろうか。
恋人じゃなくて、プレイをするだけの付き合い。そう割り切ってしまった私には、切なさも込み上げてくる。
「これ呑んだら、帰るよ?」
「えーっ」