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歳下の悪魔
第2章  天使と悪魔


「何、期待してるの?」
 笑いが混じった和真の声。
「いやらしい顔だね。ホンモノが、欲しいの?」
 さっさとセックスして、帰って欲しいという思いもあった。でも、縛られたままの挿入も屈辱的。それにここで頷けば、今後もセックス漬けになるかもしれない。
 そんな2つの思いが、頭の中を巡る。
 秘蕾に手がいくと、また縄を戻された。
「あぁんっ」
 強い快感に、体を捩る。
「縄に、イかせてもらいなよ」
「ヤぁっ、はぁっ、んんっ」
 和真は、挿入する気がないらしい。
 縛られて悦がる女性を見るのが、彼の趣向なのだろうか。それなら、何らかの方法で射精するだろう。
 歓迎会の夜にセックスしたのだから、不能というわけじゃないはず。ベッドに乗る時に見えた和真は、ジーンズでも勃起しているのが分かったのに。
 一体、何がしたいんだろう。
 そんな思いも、段々と頭の隅に追いやられていく。
「あっ、はぁんっ、ヤぁっ、あぁんっ! んんっ……」
 イってしまった。真っ白な頭の中に浮かぶのは、和真が配属されてきた時の笑顔。爽やかで、私からすればまだ幼くて。天使のような笑顔と言い出したのは美月でも、私も納得は出来た。
「気持ち悦かった?」
 和真は笑いながらベッドを降り、またチューハイを呑み始める。
「解、いてっ……。はぁっ……」
「優華も、呑みたい?」
 そう言うと、彼は手錠だけを外した。
「縄に触っちゃ、ダメだよ。オシオキするからね?」
 せっかく、縄を外せると思ったのに。
 私はベッドの端に座らされ、チューハイを渡される。
「呑みなよ。自分で買ってきた分は」
 少し痺れの残る手で、チューハイを呑む。これを全部呑めば、縄を解いて帰るのだろうか。
 和真の命令に、従うしかない。
 私が買ってきたのは、10本。別に、今晩全て呑むつもりじゃなかった。
「優華は、今の職場、満足してるの?」
「うん……」
 職場に不満はない。あるとすれば、和真が配属されてきたこと。
 今まで悩みがあれば、全て美月や敦子に相談していた。でも、こんなこと絶対に誰にも言えない。
「会社はでかいし、給料もいいしね。はい、お替り」


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