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歳下の悪魔
第2章 天使と悪魔

つい元彼のことを考えてしまったが、今の悩みは和真の存在。元彼のことなら、何度も美月や敦子にも相談した。勿論解決策は、忘れることだけ。でも和真については、現在進行形。
誰にも相談出来ないことが、こんなに苦しいのを始めて知った。
「これ呑んだら、帰るから。パスタも食べたし」
「えー。もうお開き―」
「2人で残っていいよ」
私は、グラスを一気に空ける。
氷ばかりで、缶チューハイより量は少ない。
食欲はなかったが、口実のためにパスタも食べた。他の物も、少し摘まんだだけ。
2人で残ればいいのに、全員帰ることになってしまった。
残ってくれれば、和真は絶対部屋に来ない。明日は分からなくても、今晩だけは回避出来る。
そんな希望も、砕かれてしまった。
「今日はー、私が奢るからー」
「そんな。ワリカンにしましょうよ。俺、結構呑んで食べたし」
「いいのー。和真くんとはー、初呑みってことでー。次からはワリカンね」
和真は、レジ前で何度も美月にお礼を言っている。
まだ電車はある時間だけど、駅まで歩くよりタクシーの方が楽。この辺を流している空車も多い。
「タクシー、停めたよー。お先にどうぞー。2人、同じ方向でしょー?」
「えっ、今日は、酔ってないし……」
拒否しようとしたが、和真が目線で命令してくる。乗れと。
背筋に冷たいものが走った。
何か目的があるんだろうか。
またマンションに来て、辱められるのだろうか。
「送りますよ。優華先輩……」
仕方なく、彼と一緒のタクシーに乗った。走り出すと、何も知らない美月が両手を振っている。
美月に悪気は全くない。同僚で同じ方向なら、男女だってタクシーの相乗りも問題ない。
普通なら。
和真が運転手に告げた行き先は、私の知らない所。
「あ、もしもし。後、20分くらいかな。待っててよ」
誰に電話したのかも分からない。でも私のマンションに向かわず、電話の相手のいる場所へ行くんだろう。
また、恐怖が込み上げてくる。
「優華は、俺の言うことを、聞くんだよね?」
頷くしか出来なかった。
縄も無いのに、体中を縛られているよう。

