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歳下の悪魔
第4章  目論見(もくろみ)


「後、そっちだけでしょう?」
 敦子が機械を指差す。
「はい。これで、セット完了です」
「動かしておけば、勝手にデータが排出されるから。そろそろ行かない? いいですよね? 課長」
 敦子が課長の所へ行って、確認を取っている。その間にみんなは仕事を一段落させ、5人で社食へ向かった。
 昼は殆どがAランチかBランチを頼む。バランスがいい上、値段も安い。まだ昼前ということで、いるのは外回りや順番に昼を摂る社員くらい。
 それぞれランチを頼み、席に座った。
「いっただきまーす」
 何となく美月の声で、社食での食事が始まる。
「優華―。また魚―? 太りたいって言ってるのにー」
 そう言う美月は、肉を食べていた。
 Aランチは肉で、Bランチは魚がメーンになっている。どちらも総カロリーは同じで、塩分や糖質もほぼ変わらない。
 このメニューの成分解析をするのも、二課の仕事。それは、ここにいる全員が知っている。
 守と和真は、大盛りにした。2人とも若い男性。ランチでの大盛りくらいなら、そう食生活に響く物でもない。
「社食に来たかったんですけど、1人じゃ、頼み方とか分からないから。だから嬉しいです」
 和真の言葉に、全員が笑う。多分、私だけが冷めた表情だった。
「簡単だったでしょ? 食券だからー」
「はい。大学と同じでした。そう言えば美月先輩。土曜に優華先輩とどこか行くんですか?」
 それは、私の電話で聞いたことだろう。
「えー? 何か言ったっけー? つい言ったかもねー」
 美月がニヤけている。
「呑みに行くのー。女子5人で。男子5人も、来るけどねー」
「それって、合コンですか?」
 守も口を挟んで来た。
「ふふふー。内緒だよねー、優華―」
 美月の話し方じゃ、合コンに行くのが丸分かり。
「懐かしいわ。合コン。優華ちゃん。素敵な人がいるといいわね」
「べ、別に……」
 折角バランスのいい食事なのに、話題のせいで喉を通らない。
「合コンかー。大学時代は、たまにやりましたけど」
 和真が、思い出すような表情になる。
「そう言えば和真くん。彼女は?」
 敦子が箸を止めて訊く。
「好きな人は、いるんですけど……」
「片思い?」
 敦子は、この手の話が大好物。
「そんな感じです」



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