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歳下の悪魔
第4章  目論見(もくろみ)


「大丈夫よ。和真くんはかっこいいし、身長も高いし。爽やかだしね」
 敦子の言っていることは、まだ悪魔の顔を知らなかった私も思っていた。もしもっと若かったら、恋愛対象になっていたかもしれない。
 22歳の和真からしたら、32歳はオバサンだろう。
「ありがとうございます。頑張ります!」
 笑顔でそう言ってから、和真はご飯を掻き込んだ。


 ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆


 もう0時。今晩も、和真は来ない。今日は金曜日なのに。
 盗聴器があれば、それで満足なのだろうか。今週は、一度も来ないなんて。
 一度開き直ったら、盗聴器のある生活にも慣れた。
 和真がセックスしたのは、最初の一度だけ。その後は私だけイかせれば満足なのだろうか。
 それともこの前社食で言っていた、片想いの相手に夢中なのかもしれない。
 気が付くと、何気に彼のことばかり考えている。
 それは、あんなに辱められたせい。普通のセックスを強要するならまだしも、縄で縛るなんて。それに、他人のセックスを見せたり。
 でも最初の夜以来、和真が射精するのを見たことがなかった。酔って覚えてはいないが、たくさんのティッシュとコンドームを使った形跡があったから。
 他人の趣向は、私にはよく分からない。以前考えた通り、縛られた私を見て楽しむだけ。後は自宅に帰って処理しているのかもしれない。
 考えていた私は、頭を振ってからベッドへ入った。
 私が、和真について探る必要はない。嵐が過ぎ去ったと思えば、いいのだろう。
 明日の合コンの前に、美容院へ行きたかった。
 合コンのためのお洒落じゃなく、三ヶ月以上行っていなかったせい。
 この二ヶ月ほどは落ち込んでいたり、仕事が忙しかったり。最近は和真のせいで、美容院など忘れていただけ。
 すぐにスマホで予約を取った。
 まさか和真だって、合コンの席に乗り込んだりはしないだろう。場所だって知らない。
 消えない彼の顔を振り払うように、ケットに潜り込んで眠った。



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