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歳下の悪魔
第5章  事件と有休


 関西方面への転勤だと言っていた元彼が、何故ここにいるのかは分からない。平日に私服姿なのは、有休だからだろうか。
 私は頭の中がパニック状態で、言葉が出なかった。
 本当は訊きたい。あれは嘘で、もっと近くへの転勤だったのかと。
 私はあの時元彼の言葉を信じ、プロポーズを待っていた。そのことで、頭がいっぱいだったのかもしれない。
「それにさ。優華の方が美人じゃん。料理も上手いし」
 和真の言葉に、彼女はただ元彼を見ている。元彼は目を泳がせ、何も言葉を発さない。
「優華だってさー。若い男の方がいいだろう? スタミナもあって……。あっ、俺、22」
 元彼は歳の差に驚いているよう。でも、私は言葉が出ないまま。
「元彼さん。転勤先は、どこなの? ホントのこと言いなよ」
「それは……。千葉、だよ」
 元彼がやっと口を開く。
 千葉県なら、都内とは遠距離恋愛になんて入らない。私から会いに行っても、構わなかったのに。
 結局は、私がいらなくなっただけ。二股を掛けていたのかは知らないが、元彼は私より彼女を選んだ。
「優華、こいつと別れたのいつ?」
「三ヶ月、前……」
 やっと少しだけ、言葉が出た。
「三ヶ月前!?」
 今度は彼女が、色めき立つ。
「どういうこと? 私達、もうすぐ一年よね?」
「それは……」
「はっきり言ってよ!」
 彼女の剣幕に、元彼は困っている様子。
「お互い、デートを楽しもうか。じゃあ」
 和真は元彼に怒っている彼女を背に、私の手を引いて歩き出す。
「ケチがついた。帰ろう……」
 彼の怒った顔を、初めて見た。
 会社でも個人的にも、私といる時は色々な意味で笑っている。
 車に乗り込んでも、彼は無言のまま。険しい表情で、運転を始めた。
 元彼に気付かない振りをすれば、良かったのだろうか。そう考えても、後の祭り。
 シートに身を沈め、私も無言のままでいた。



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