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幸せの頂点
第2章 栄転
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百貨店の裏口を出ると部長はタクシーを停めて乗り込んだ。
「さっさと来い。」
言われるがままに私もタクシーへと乗り込む。
運転手に行き先を告げる部長が脚と手を大きく広げてだらしなく後部座席を占領する。
「お前、男は居るのか?」
いきなりの不躾な質問に固まった。
「は?」
「居るのか?居ないのか?それだけを答えろ。」
何なの?
この人…?
私の個人情報だと失礼な上司の質問を突っ撥ねたいとか考える。
「答えられないって事は男日照りか?」
馬鹿にしたように鼻を鳴らす部長に頭に来る。
「違いますよ。セクハラ的な質問には答えたくないだけです。」
初日から部長に牙を剥く羽目になった。
「セクハラ?くだらねえ…。聞かなきゃ仕事にならねえから聞いてんだよ。」
意味がわからない。
「その質問が仕事ですか?」
「当然だろ?」
「プライバシーを侵害してるだけに聞こえます。」
「お前、うちの部所を見て気付いた事はないのか?」
「はあ?」
統括に出勤して僅か10分で部長に攫われた。
その統括で気付いた事?
色々と考える。
部長が来た時には私以外の4人が出勤してた。
その4人に挨拶をする間もなく彼らは自分の仕事に集中をしていた。
彼ら…?
あの部所で女は私だけだ。
しかも全員から私は無視された存在だった。
「私が女だという事ですか?」
部長を睨みつける。
セクハラにパワハラだと怒りが湧く。
「女ってのはどうでもいい。ただ結婚したり出産したりと将来的に現場を離れる予定があるなら今のうちに言っておけ。俺はお前の代わりを今から探す必要があるからな。」
私の睨みなんか痛くも痒くもないとばかりに部長が私を見下ろす。
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