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幸せの頂点
第5章 主婦



ゆらりと部長が動く。

飲み干したビールのグラスをテーブルに叩きつけるようにして置く。

ダンッと響く音に女の子達が口を閉じ、皆んなの視線が部長に集中する。


「お前ら…、誤解を招く話をしてんじゃねえよ。」


怒ってる訳じゃない。

寧ろ、呆れてるに近い口調だった。

なのに誰もが部長に視線を向けて部長の言葉を聞きたがる。


「じゃあ、誰が本命なの?」


部長の隣の女の子が部長の顔を覗き込む。


「お前らとはかけ離れた仕事をしてる女…。」


穏やかな笑顔で低く部長が呟いた。


「えっ?部長って彼女が居ました?」


三浦さんが変な声を上げる。

金子さんも口をポカンと開けて部長を見る。


「悪いか?」


唸るように部長が言う。

ギラギラとした瞳に変わる。

私の背筋がゾクリとする。

誰もが部長に引き付けられる。

女の子達も部長に興味津々の表情をしてる。

さっきまでチャラい合コンだった雰囲気が部長の一言でガラリと変わるのが不思議だった。


「仕事の話なら、いくらでもしてやるよ。だけど俺の女については俺のプライバシーだから答えるつもりはない。だから聞くな。」


部長の一括で誰もが口を噤む。

偉そうに…。

女の子を取っ変え引っ変えしてる話なんか誰も聞きたくなんかありません。

私だけが不機嫌になっていく。

私の歓迎会?

絶対に嘘だ。

部長の俺様はモテますを見せつけられただけの飲み会だとか考える。

チビチビと飲むチューハイが苦いなとか思う。

山内さんは誰とも会話せずに黙々と食事をして、三浦さんと金子さんは女の子と会話するのに必死な姿を晒してる。


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