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第1章 アリョーナの旅路

そして、その日の夕方５時半頃のことでありました。

食卓には、フィリップさんとフィリップさんの両親と妹さんが座っていました。

テーブルの上には、クイック(ベルギーに本店があるハンバーガーのファストフードチェーン)の１個５ユーロのハンバーガーとミニッツメイドの缶ジュースだけでありました。

フィリップさんのお父さまは、泣きそうな声で『ハンバーガー１個だけかよぉ～アリョーナさんの手料理が食べたいよぉ…』と言いましたので、フィリップさんのお母さまは怒り気味の声でこう言いました。

「あんたね!!友人知人の借金やクレジットの保証人を引き受けたからこうなってしまったのでしょ!!アリョーナさんがどんな思いをして怒っているのか分かっているの!?」
「何だよその言い方は…優しくしてくれよぉ…」

アタシはこの時、ナイトクラブのバイトに行く準備を終えまして出かけるところでありましたので、行く前にフィリップさんたちにこう言いました。

「あのね!!ハンバーガー１個だけでも!!食べる物があるだけでも幸せだと想いなさいよ!!文句を言うのなら食べないで!!」

アタシは、フィリップさんたちにこう言った後にバイトに出かけました。

アタシが出かけた後、食卓はどんよりとよどんでいました。

それからまた５日後のことでありました。

フィリップさんのお父さまがタンブル通りにあるナイトパブに入り浸りになりまして、一晩中家に帰らない時が多くなっていました。

事件は、その翌日に発生しました。

８月４日、フィリップさんのお父さまが複数のナイトパブのノミ代の合計１万8000ユーロのツケがあったことが分かりました。

アレコレと切り詰めて、質素倹約でお金を使っていると言うのに…どうしてなのよ…

アタシだけではなく、この時はフィリップさんとフィリップさんのお母さまと妹さんもカンカンに怒っていました。

それから２日後、うちにナイトパブのオーナーさま５～６人が押しかけてきて、アタシたちにお父さまがためていたノミ代のツケ合わせて１万8000ユーロを払えと言いに来ていました。

アタシとフィリップさんのお母さまは、泣く泣くお父さまのノミ代のツケ合計１万8000ユーロを払いましたが、この時には、アタシとフィリップさんとフィリップさんの親きょうだい親族との人間関係はますます険悪になっていました。