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ラブ・アンド・セックス
第1章 大きな舞台に立ちたい!
その夜、オレたちは、家の近所のコンビニで、スパークリングワインとチーズを買うと、住んでいるマンションの屋上へあがった。本当は、入っちゃいけないんだけど、オレたちの秘密の練習場だ。デート場でもある。

「乾杯!」

オレたちは、グラスを合わせた。

「ああ、おいしい」

麻衣が、空を見上げながら微笑んだ。

「どんな舞台になるのかな」

「さあ……。でもいい舞台にできるかは、オレたちの頑張り次第だと思うよ」

麻衣は姿勢を正すと、芝居がかった口調で、

「努力した者が成功するとは限らないが、成功した者は必ず努力している……」

「それ、誰のセリフ?」

「うーん、誰だっけ……忘れちゃった」

オレたちは、顔を見合わせて笑った。

月のきれいな夜だった。ワインのボトルを空にしたオレたちは、仰向けに寝転がって空を見上げた。夜風が心地よく頬を撫でる。

麻衣は片ひじを立てて上半身を起こすと、オレに唇を重ねてきた。そのまましばらく麻衣の優しい口づけを楽しんだあと、オレは両手で麻衣の身体を抱き寄せた。

「あん……」

舌を絡め合いながら、背中を撫でるように手を這わせ、引き締まったお尻をまさぐる。麻衣の吐息が熱くなっていく。オレの股間も強張ってきた。

「にゃん!」

突然、麻衣が両手でオレの胸を突っ張り、身体を離した。

「にゃ~お」

四つん這いになり、腰を妖しく揺らしながら這い回り始める。

「『キャッツ』か……」

動物の動きを真似たパントマイム。ここでよくやる稽古の1つだ。

「にゃお~ん」

オレも鳴き声を上げて応えると、四つん這いなり、麻衣にじゃれついていった。オレたちは猫になりきって、身体を擦り付けあった。
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