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第1章 大きな舞台に立ちたい！

「どんなストーリーになるんですか？」

麻衣がきいた。オレも気になっていたところだ。

「まだ脚本は執筆中なので、詳しいことは言えませんが、主人公の夫婦は、セックスレスに悩んでいる、という設定だそうです」

「セックスレス？」

「はい。最近は、セックスをまったくしない夫婦というのが増えているそうです。そのことに悩んでいる妻のところへ、結婚前に付き合っていた元カレから連絡が入るところから話は始まり、紆余曲折の末、セックスレスを解消し、夫婦が愛を取り戻すという話になる予定です」

「ハッピーエンドですね」

麻衣が嬉しそうに言った。

「ええ、ハッピーエンドです」

「よかった。翔平くんと二人で夫婦役を演じるのなら、できればハッピーエンドのほうがいいですから」

その気持ちわかります、というように玲子さんは頷いた。

「お二人は、とても仲がいいようですね。結婚して何年になるんですか？」

「３年になります」

「じゃあ、まだセックスレスではないですよね」

「は、はい……」

麻衣の頬が赤く染まった。

「あっ、ごめんなさい、失礼なことを聞いて」

玲子さんが申し訳なさそうに頭を下げた。

「いえ、気になさらないでください」麻衣に代わってオレが答えた。「そうですね。役作りのためにセックスレスのことをしっかり勉強しておきます」

「相沢もかなり気合が入ってます。よろしくお願いします」

玲子さんはニコッと微笑んだ。