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黄昏異変 肉欲の奈落
第1章 女医 早苗
 「捨てて、何て言いません。奥様がいたらダメ・・・」
 「ふ、ふ、不倫ってこと」
 「わたし、愛人でいいの」
 「あ、愛人・・・」

 (本当にそれでいいんだな。それなら話は早い・・・)

 浩二はもう食事どころではなくなってきた。

 「愛人と言うことは、その、早苗さん、に、に、肉体関係・・・」

 浩二の声は緊張に上ずって裏返りそうだ。

 「はい」
 「はい・・・。ほ、本当に僕との関係を望むの」
 「抱いて欲しい…、浩二さんに」

 早苗は恥じらいに頬を染め、視線を伏せた。

 「そう」

 浩二にはほかに返す言葉が見つからなかった。

 「そうか・・・」

 緊張し過ぎて体中から力が抜けるような気がした。

 「わたし、まだ本当の意味で男性を知らないの」
 「まさか、君が」
 「この際だから、打ち明けます。高校生のときに、知ってはいけない両親の秘密を知ったんです」

 「両親の秘密・・・」

 「たまたま腹痛で学校を早退し、帰宅したわたしは、玄関で見かけない男の靴を見ました。来客かなと居間をのぞきましたけれど、誰もいません。おかしいな、と思って二階に上がると母のすすり泣く声が」
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