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甘い鎖【BL】
第8章 二人のこれからのあり方
「まぁた同じこと言いやがって。まあ大学のことは感謝しているよ」

「良い家庭教師だっただろう?」

「そうだな。そこは認める」

光雅が勉強を教えてくれたおかげで、オレは次点で合格できた。

首席はもちろん、光雅だ。

…全教科満点なんて、オレには絶対ムリだし。

やがて景色が見慣れたものから、見知らぬ土地へと変わる。

大学は高級住宅地の側にあり、オレ達の新居もそこだ。

ガレージに車を入れて、家の中に入る。

インテリアは品良く落ち着いた家具で統一されている。

光雅のセンスは相変わらず良いな。

「今日から改めてよろしく、綾」

「ああ、よろしくな。光雅」

改まって握手をすると、ちょっと恥ずかしい。

けれど光雅は何故か、少し悲しそうな表情をする。

「ん? どうかした?」

「…いや。制服姿の綾を見るのも今日で終わりかと思うと、ちょっと寂しくて…」

…オレには理解できない感情だな、うん。

呆れていると、握手をしている手を引っ張られ、抱き締められた。

「わわっ! 何だよ、いきなりっ!」

「綾、このままベッドルームへ行こう?」

「…ホントにいきなりだな」

制服姿を惜しむあまり、この格好のままとか考えたな?

まあ…これで本当に最後だと思えば、断ることもないだろう。

「別に良いケド…」

「うん!」

相変わらず綺麗に笑うんだな。

二階にあるベッドルームは、カーテンがしまっていた。

「まさか計画的だったとか言わないよな?」

「今朝はバタバタしてたんだよ」

確かにベッドは乱れた跡がある。

「ここんとこ、綾と離れてて寂しかった。でもそれも今日までだね」

後ろから抱き締められて、オレは苦笑した。

こんな情けない顔も、見るのは久し振りだ。

「ああ、オレも寂しかった」

顔だけ振り返り、キスをする。

「ふふっ。ずっと一緒にいよう、綾」

「そうだな」

死すらオレ達を別つことはできない。

ずっと一緒だ。

他の誰にも、何物にも眼を向けず、お互いの関心は自分達にしか向かない。

甘い鎖は、きっといつまでも解くことは無い。



<終わり>
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