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第2章 とし子の悲劇・第２部

「マスザキさんの長男さんのプロポーズ祝いもいいけれどぉ…問題はひなこの結婚のことを解決してあげないと…」

義母が義姉の結婚問題のことを口にしましたので、義父は『またひなこの結婚の話なのか!!』とあつかましい声で言うてから読みかけの新聞に手を取りまして『朝からその話はかんべんしてくれよぉ…』と言うたあと無関心な表情で新聞を読んでいました。

章介さんのお父さまは、新聞を読みながら『なでしこジャパンは勝ったかなァ…今日のカープの先発は…サンフレッチェはホームゲームだったかな…』などとのんきな声で言っていましたので、義母は煮え切らない声で義父にこう言いました。

「あなたね!!サッカーやプロ野球の心配をしているヒマがあるのだったら、ひなこの結婚の問題を真剣に考えてあげなさいよ!!」
「何だよぉ…朝の忙しい時間帯にひなこの結婚問題を持ち込むなと言っただろ!!」
「持ち込みたくもなりますわよ!!ひなこをいつまで独り身にさせておくのですか!?」
「ひなこがほしい白馬の王子さまは待っていれば来てくれると言っただろ…同じことを何回言わせるのだ!?」
「それじゃあ、ひなこが結婚できなくなってもいいと言うわけなのね!!どうして無関心になってしまったのかしらね!!何とか言いなさいよ!!」
「ひなこに結婚してもらいたいよぉ…だけど、この近辺にはひなこのことを大切にしてくださる相手がいるかどうかだよ!!」
「話にならないわよ!!あなたがそう言うふうに難しく考えてばかりで、結局は逃げ回ってばかりじゃないのよ!!」
「逃げていないよぉ…あんまりやかましく言わないでくれよぉ…」

義父はこう言いまして、食卓から離れて行きました。

クソッタレの章介は、食事を終えた後「帰りは遅くなるから。」と突き放すような声で言った後に黒の手提げかばんとジャケットを手に取りまして、ムスッとした表情で工場へ出勤しました。

続いてアタシも「ごちそうさまでした。」と言った後に、赤茶色のバッグを持ってバイトに行きました。

義姉もまた、ムスッと表情で席を立ちまして「おいしくないわ!!」ととがった声で言いまして席を立ってしまいました。

義姉の結婚問題が日増しに深刻になっていると言うのに、義父母は無関心を貫き通していたので、そんな中で暮らして行くのはショージキしんどいと思っていました。