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純愛ハンター
第4章 裁き4、暴力なきDV
「うぅっ…酷くないですかぁ?あんなに尽くしたのに…あんなに頑張ったのにぃ…うわあぁぁ~っ…!」

依頼者の渡辺美樹(29)は『純愛ハンター』の事務所に訪れるなり、要領を得ない愚痴を垂れて泣きじゃくっていた。
ウエーブのかかった明るい茶色のメッシュ入りのロングヘアと黒のワンピースがよく似合い、長身の細身で彫刻のように整った顔立ちで一見すると上品可憐な渡辺だったが…
ソファーに浅く座ってテーブルに肘をついて泣きじゃくる様子は、まるで場末のスナックで愚痴を吐きまくる迷惑客のようだった。
玲子はデスクのヘリに寄りかかりながら、渡辺の愚痴を「うんうん」と同情まじりに聞き入っていた。

(普段の玲子なら…依頼者がこんなに泣きじゃくったらコテンパンに毒づくのに…妙だ…)

数日前、玲子に一晩中犯されたお嬢は、それ以降不自然なほど毒が抜け切っている玲子の様子を注意深く観察していた。
だが、玲子もそんなお嬢の視線を冷静に感じ取っていた。

「渡辺さん、お辛い気持ちは分かります…でも、もう少し具体的にお話していただけます?」

玲子は眉をへの字に潜めて哀れみの表情を見せると、渡辺にミネラルウォーターのペットボトルをそっと差し出した。

「ううっ…スイマセン…ずっと誰にも言えなかったんで…つい…うぅ…」

渡辺はミネラルウォーターを半分ほど飲むと、大きくため息をついた。

「ざっくりした依頼内容はメールで貰ってますけど、どんな事があってどんなクズ野郎に復讐したいか…詳しく聞かせて下さいます?」
「は、はいぃ…うっ…うぅぅ…あぁ~っ…!」

だが渡辺は再び嗚咽しはじめ、一向に話す事が出来ないでいた。
玲子は渡辺の横へ座ると優しく手を取った。

「…クズ野郎に遭わされた辛い出来事を理路整然と話せないのは分かります…でも、クズ野郎に復讐したくてココにいらしてるんでしょう?」
「はい…ゴメンなさい…ゴメンなさいぃぃ…うぅぅ…」
「ゆっくりで良いですから」
「スイマセン…うぅ…は、話します…うぅぅ…」

そう誘うと渡辺はどうにかこうにか泣き止み、依頼内容について話し始めようとしていた。
依頼者に対して普段と真逆の接し方をしている玲子の様子を、お嬢は変わらず注視し続けていた。

「うっ…グスッ…復讐したい男というのは…つい最近まで同棲…ううぅ…同棲していた元彼なんですぅ………」
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