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るりいろ(MILK &honey後日談)
第4章 るりいろ

「るりっ……」

 持ちやすい所を探してるのか、ぺたぺたと俺の腰骨の辺りを探る可愛いお手々……ぐぼっ……。

「……抱き付くんじゃなくて、安定させる為に出来れば片手でバイクのバーかベルトを持って、もう片方でライダーの腰を持ちなさいって」

 ……教官……
 ……いや、教官様……っ!
 俺が、間違ってました!!
 安全と密着を兼ね備えた素晴らしいご指導を、ほんとにどーもありがとー……!!

「……どこ持ってたらいい?」

「そーだな……ここ持っとこっか」

 腰の辺りで落ち着かなげにしてたるりの手に、ベルトを掴ませてやる。ちょっと……いや、すんげー残念だけど、安全第一だ。

「これでいい?」

「うん、いい。すげーいい。今のところ、最高。」

 さっき不安気に聞いて来てたのが吹っ飛ぶ様に、るりに請け合う。

「んじゃ行きますか、お嬢様」

「はい、よろしくお願いしますっ」

 そう言うとるりは、膝で俺の腰を挟んで、きゅっと締めた。
 ……うん。
 素晴らしいニーグリップ。
 さすが免許取っただけの事ぁ有んね……けど、下半身の密着感、半端ねーね……。

 ……はっ。
 いけねー。安全第一安全第一。
 お楽しみは、二の次だ。

「寝ちまって、落っこちねーでな。走り始めたら話せねーから、眠くなったとかトイレ行きたいとかなんか有ったら、背中叩いて。停まるから」

 最後の大事なことを伝えながら、スタンドを蹴飛ばして外してクラッチを握り、ギヤを踏んで一速に入れる。

「ん、分かった。」
 
 きゅっと掴まり直したるりの体のあったかさに、一瞬全身ニヤけそうになる。
 ……安全第一安全第一安全第一……。
 腹ん中で唱えて自分の気を引き締めて、アクセルを開けながらゆっくりクラッチを繋いだ。

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