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るりいろ(MILK &honey後日談)
第4章 るりいろ

   *

 駐車場を出ると、早朝の空気がひんやりする。
 早朝っても超早朝だ。
 終電は終わってるけど、始発はまだ走ってねー。

 この時間の街中は、すげー静かだ。
 でも、高速の上は全然静かじゃねー。夜中は、トラックが走るからだ。

 車はどーだか分かんねーけど、トラックが多い時間帯にバイクで走んのは、気合いが要る。巨大な鉄の塊に囲まれて、生身をさらして走るんだ。気を抜いたら吹っ飛ぶ。

 今日は、気合いが有っても、出さねーもんね。
 るりと初めて出掛けんだから、怖い事はお断りだ。のんびり楽しく……何よりも、安全に。
 高速に乗んのはしばらく後にして、なるべく丁寧に下道を走る。

 るりは、最初のうちは固くなってる感じだったけど、だんだん楽しそうになって来た。
 喋んなくとも、見ねーでも、伝わってくる感じで分かる。
 引っ付いてるとこの無駄な力がふんわり抜けて、時々なんか珍しいのか、邪魔にならねー程度にきょろきょろしたりしている。

 自分でも乗れるよーになったからなのか、それともそれは、関係ねーのか。
 それは分かんねーけど、この子、乗んのが上手だわ。
 
 同乗者は荷物になれって良く言われるけど、荷物になんのは最低限だ。人間なんだから、出来ればライダーに合わせて欲しい。でも、やり過ぎるとかえって鬱陶しいし、邪魔んなる。

 誰も乗せねーって決めてる俺だけど、実は、家族だけは乗せた事が有る。
 公道走れる技術が有るかの確認の為にって、じーちゃんを。
 あとは、どうしても仕方なくて、弟三人を一人ずつ、何回かずつ。
 上の弟は、上手かった。真ん中は、カチカチ。下は、へろへろ。

 じーちゃんの時はテストだったから、随分無茶苦茶な事された。後ろに乗ってるヤツが勝手に体重移動してバイク倒し込むとかねーわ普通!……怒鳴りまくって、戻したけど。
 結局、じーちゃんのあらゆる妨害工作の末に、乗っても良いって許可された。
 弟達は、それ、されてねんだよな。長男って、損な。内心ずりーと思ってるってなぁ、弟達にゃあ今んとこ内緒だ。
 
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