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復讐の味は甘い果実に似て
第6章 絶望へのいざない ~ひかるの告白~
 あたしと明日香は、恵梨に支度をさせると、タクシーを拾ってホテルに向かった。
 恵梨は、タクシーの後部座席でも、明日香とあたしに挟まれてグズグズと泣いていたが、もう、あたしは恵梨の涙などに頓着していなかった。
 今のあたしには、他に考えるべきことが山ほどあるのだ。
 
 どうやれば、あたしは恵梨が嫉妬するほど、淫らになれるだろう?
 恵梨があたしに同情するほど、破瓜がどうしようもなく痛かったらどうしよう?
 先輩に処女だと言って、引かれたらどうしよう?
 
 タクシーの窓から流れていく無数の街の光を見ながら、あたしはひたすらこの後のことを考えていた。

 泣きじゃくる女の子と、その脇を抱えて歩いてくる女の子2人の3人組、という謎めいた組み合わせのあたしたちがロビーに入ってきても、ホテルマンは笑顔で出迎えてくれた。
 だが、あたしたちをエスコートしつつ、エレベータの利用階を聞いてきたホテルマンに、明日香が26階をお願いします、と告げるとホテルマンの顔は少しばかり固くなった。
 ホテルマンは、あたしたちをその筋のデリバリー関係の女性だとでも思ったのだろうか。
 だが、今のあたしとしては、できればそっちのお姉さんにご指南を仰ぎたいくらいなのだ。
 
 訝しげな顔のフロントマンを尻目に、あたしたちはエレベーターに乗り込んだ。
 そして、エレベータの無機質な到着音に、あたしは改めて覚悟を決めた。

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