この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
復讐の味は甘い果実に似て
第6章 絶望へのいざない ~ひかるの告白~
「あっ……あの!……まず、先輩にお願いしたいことがあります!」
 あたしは先輩のシャツの裾を掴んだ。
 ん? と先輩が声をあげるのも構わず、あたしは言葉を続ける。

「あ、あ、あの、あ、あたしは処女です!」
 緊張で呂律が怪しくなったが、とうとう言ってしまった。

 先輩の口から、ええっ? という声が漏れ、顔に驚きが浮かんだ。
 当たり前だ。まさか、こんなバカなことでロストバージンなどあり得ないと思っているのだろう。だが、あたしはもう、先輩の口からそういうことを言わせたくなかった。
「……いっ、いいんです。もっ、もう覚悟はしてきてますから。」

 先輩が何か言う前に、あたしはたてつづけに言葉を繋ぐ。
「だけど、ロストバージンの相手が、他の女の子のこと気にしてたら……つらいです。」
 あたしの言葉に先輩が少し困ったような顔をした。
 それが、恵梨を気にしてのことなのか、成り行きで、処女の相手をすることになったからなのかはわからない。どちらにせよ、あたしは先輩にとって復讐の道具でしかないわけで、いまさらそのことを咎めても仕方のないことだった。

「だから、今夜だけ……今夜だけは、恵梨じゃなくて、あっ……あたしを見てください。」
 やっとの思いで、言葉を絞り出しながら、あたしは少し泣いていた。
 涙の理由はよくわからない。
 
 復讐の道具にされ、好きかどうかも定かでない人とセックスして、処女を失うことに自分の中で気が咎めたのだろうか。
 処女を捧げる相手が、別の女の子のことを気にかけていることに嫉妬したのだろうか。
 
 だけど、その時のあたしは、その理由を見つけようとは思わなかったし、あえて見つける必要もないことのように思えた。
 先輩の裾をつかんだまま、立ちすくんで涙を流すあたしを先輩が抱きしめた。
 そして、先輩はあたしの耳元で、わかった、とだけ言ってくれた。

/237ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ