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第1章 終わりと始まり

　その夜、次の日の昼まで、僕は何をしていたか、よく覚えていない。　
　駅に最初に来た電車に乗って、適当ににぎやかな駅で降りて、適当に見つけた居酒屋で酒をあおっていたのではないかと思う。河川敷にいたあたりから、僕のポケットのスマホは、ひっきりなしに電話やらメールやらの着信の振動を響かせていたが、僕にはもう、それに出る気力も、メールを確認する気力も失せていた。

　どこをどのようにしてたどり着いたのかは覚えていないが、翌朝、といっても昼近くになってからだが、僕は新宿のネットカフェの一室で目を覚ました。
　僕は顔を洗いにトイレに行ったが、鏡に映った僕は、あまりにひどい顔をしていた。

　ひどく泣いたことがわかる充血した目。
　くっきりとわかる目の下のクマ。

　一度、部屋に帰るしかないか、と思ったが、部屋に帰れば、昨日ひっきりなしに電話とメールを送り続けてきた張本人に出くわすかもしれなかった。
　正直、恵梨の前で、とても冷静を保っていられる自信はない。
　結局、僕の逃避行は半日で終わり、僕は替えの下着を買って、大学の研究室に戻ることにした。