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復讐の味は甘い果実に似て
第7章 割れない数字 ~恵梨の告白~
 多分、それだけなら、わたしは犬にでも噛まれたと思って、諦めることも出来ただろう。
 だが、その後の本間は、まるでわたしが自分の女でもあるかのように接してきた。
 
 もちろん、サークルのなかでは、そんなそぶりは見せない。むしろ、そっけないくらいにストイックに練習しているふりをする。
 だが、練習が終わると、本間はわたしのアパートの前で待ち構えて、部屋に入れるようにねだってくるのだ。
 ひどいときはバイト先のカフェに訪ねてきて、彼氏のような顔をして馴れ馴れしく居座ることもあった。
 
 もちろん、最初は相手にしなかった。
 だが、女性専用のわたしのアパートの前で、何日も待ち続けられると、そうもいかなくなってくる。
 わたしには俊ちゃんと付き合う前に、別れた人がストーカーのようになり、アパートの前で待ち伏せされるという前科があった。そのことは、大家さんにも知られていて、後でネチネチと素行を注意されたことがあったのだ。 

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