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復讐の味は甘い果実に似て
第7章 割れない数字 ~恵梨の告白~
 久しぶりに合コン用のメイクを施して、わたしは夜の街に繰り出した。
 合コンに参加するのはかれこれ一年ぶりだったが、何一つ変わったところはなかった。
 セックスしたい男の子たちがいて、品定めをする女の子たちがいるだけだ。
 
 奥の席で、わたしは一人の男に目を付けた。
 いかにもこういうサークルにいそうな浅黒い顔の軽そうな男だ。
 周りに、いかに自分がセックスがうまいかを、恥ずかしげもなく話している。
 今まで俺とやってイカなかった女はいない、とか、俺は確実に中イキさせる、とか、そういう話だ。
 わたしはその男がトイレに立った時を見計って、声をかけた。
「ね、さっきの話、ちょっと興味あるんですけど。このまま抜け出しません?」
 わたしの言葉に、その男はあっさりと応じた。
 そして、わたしはその男に連れられるまま、店を出て、ラブホテルに入っていった。


 わたしはホテルのバスルームでシャワーを浴びながら、少しだけ泣いていた。
 何故、わたしはこんなところにいるんだろう。
 ああ、部屋にいるバカみたいな男じゃなく、俊ちゃんに抱かれたい。
 あの日焼けしてない優しい腕に抱かれて、胸に頬を寄せて温もりを感じたい。
 そして、一度だけでいいから、俊ちゃんが、わたしを一途に愛してくれたことへのお礼が言いたい。
 だけど、もう、そんなことは叶わない願いだった。
 何もかも自業自得だ。
 
 もう、わたしはどこまでも堕ちて、そのことで俊ちゃんを諦めるしかない。
 わたしはバスルームを出ると、顔に媚態を浮かべて、男の浅黒い腕に体を寄せた。

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