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復讐の味は甘い果実に似て
第7章 割れない数字 ~恵梨の告白~
 そして、わたしは前に使っていたスマホを取り出して、アドレス帳を開いた。
 もう今は、全く顔を出していない合コンサークルのアドレスだ。
 
 そのまま、わたしは合コンサークルの幹事に電話を入れた。
「……あれっ、もしかして、水瀬さん? すごい久しぶりじゃん。どうしたの、今日は?」
 電話の声は、前の幹事の声ではなかったが、聞いたことのある声だった。
「また、顔出そうと思うんだけど、今度、いつやるの?」
「えっ、本当に顔出してくれるの? なら、今日、渋谷で18時からやるから、来てよ。」
「……いいよ。」
 わたしはあっさりと幹事の誘いに応じていた。

「じゃあ、道玄坂の『マタドール』ってお店で。今から店のアド送るんでよろしくね。」
 そう伝えると、今の幹事らしき男は電話を切った。

 わたしはまた、荒んでいたころの自分に戻ろうとしていた。
 もう、それでいい。

 わたしなど、どうでもいい男に弄ばれて、射精のための道具にされて、惨めに汚されてしまえばいい。
 
 そうなれば、わたしはその程度の価値しかないのだ、と。
 俊ちゃんのそばにいる資格なんかないのだ、と。
 改めて自分の体で、自覚することができるだろう。

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