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第8章 復讐の行方　～明日香の告白～

「……じゃあ、わたしはどうすればいいの？　わたしだって俊ちゃんのこと、あきらめようとしてる。いっぱい馬鹿みたいな男と寝て、俊ちゃんに軽蔑されれば、俊ちゃんをあきらめられるでしょ？　自分で自分のことを、どうしようもないくらい馬鹿で、ビッチで、クズみたいな女だって思うことができたら、自分は俊ちゃんにふさわしくないって思えるでしょ？」
　恵梨は目に涙を浮かべて、わたしに訴えてきた。
　恵梨のどうしようもない考え方に、わたしは思わず、ため息をついた。

「そんなことを続けたら、当の先輩が苦しむだけだよ。先輩はまだ、恵梨のことを、心の中から消せないんだから。」
「だってもう、どうしようもないじゃない！　好きとか嫌いの問題じゃないんだから！」
　恵梨が、わたしに縋りつくようにして訴えてくる。

「……もう、謝らなくていいから、先輩に、お礼を言いなよ。恵梨のこと、結婚まで考えるくらい愛してくれたんでしょう？　すごく大事にしてくれたんでしょう？」
　わたしの言葉で、恵梨が堰を切ったように泣き始めた。

「ねえ、もう一度だけ、復讐に付き合って。わたしたち４人で２泊の旅行に行くの。２泊のうち、最初の一泊は復讐に付き合って先輩への未練を断って。けれど翌日は恵梨にあげる。想いを残さないように、きちんと先輩とお別れして。」
　わたしの提案に、恵梨は涙を浮かべた目でわたしを見上げ、小さく頷いた。