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復讐の味は甘い果実に似て
第3章 復讐への階段 ~明日香の告白~
 わたしたちがサークルに入ったばかりのころ、3年生で、土岐先輩というわりと見た目のよい人がいた。GWの合宿の夜に、たまたま1年の女子の間で、サークルの中で気になる人を教え合おうというよくある暴露大会が行われて、わたしは何の気なしに、土岐先輩の名を挙げた。
 
 実のところ、土岐先輩というのは、よくいる見た目しか取り柄の無い男で、わたしは後でその場のつきあいとはいえ、土岐先輩の名を出したことを深く後悔することになるのだが、そのときはわからなかった。
 第一、GWの合宿後、土岐先輩の彼女の座には恵梨が収まっていたのだ。
 別にそれを悔しいと思ったこともない。
 だけど、問題はその後だった。
 恵梨は、2カ月ほどで、あっさりと土岐先輩を袖にしてしまったのだが、当の土岐先輩は未練たらたらで、振られた後もしつこく恵梨につきまとっていた。

 そういう期間が1カ月ほど続いたあと、何故か、土岐先輩の標的がわたしに変わった。
 練習中はやたらと話しかけてくるわ、帰りは部屋までついて来ようとするわで散々な目にあった。
 ある日、土岐先輩はコートで馴れ馴れしくわたしの腰に触れようとしてきて、いい加減、頭にきていたわたしは、サークルのメンバーが見ている前にも関わらず、思い切り土岐先輩を張り倒したのだ。
 あとでわかったことだが、土岐先輩の標的が恵梨からわたしに変わったのは、恵梨が土岐先輩に「明日香が土岐先輩に気があるらしい」と吹き込んだからだった。

 そのことがわかったあとで、わたしは恵梨を問い詰めたが、当の恵梨はどこ吹く風だった。GWの合宿でそう言ってたじゃん、だから気を利かせてあげただけだよ、とまるで悪気の無い顔で言われてしまった。

 なんで、あんたが袖にしたカスみたいな男をわたしが押し付けられなきゃいけないのか。
 結局、この件は、わたしのプライドがボロボロにされただけだった。

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