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復讐の味は甘い果実に似て
第3章 復讐への階段 ~明日香の告白~
「何か、テンション低いなあ、明日香。何かあったの?」
 並んで歩きながら、浩二が心配そうにわたしに声をかけてきた。
 正直、何かどころではない。
 だが、とても今のわたしは、それを口に出せなかった。

 当たり前だが、話せば、間違いなく止められる。
 浩二の性格なら、二人で先輩に話をつけに行こうと言い出すかもしれない。
 
 そうなれば、わたしは約束したことも守らないヘタレなうえに、彼氏に泣きつくヘタレになってしまう。
「ううん、何でもないよ。バイトお疲れ。ゴチんなります、浩二様。」
 わたしは無理に笑顔を作ると、浩二の腕に抱きついた。


 浩二の連れて行ってくれたイタリアンのお店でお腹を満たすと、いつものようにわたしは浩二の部屋にいた。週に1、2回は浩二の部屋で、こうしてお酒を飲んで、ゲームや映画を楽しんだあと、わたしたちはセックスをする。

 だけど、今日の浩二はいささか性急だった。
 いつもなら、お酒を飲みながら、わたしと交代でお風呂に入るところを、今日は部屋に戻ってわたしがコートを脱ぐなり、後ろから抱きすくめてきた。
 だけど、浩二に知らないところで、先輩の復讐の道具にされている今のわたしにとっては、今夜の浩二の性急さがありがたかった。浩二に抱かれて、浩二の愛撫に身を任せていれば、今だけでも余計なことを考えずにすむ。

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