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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第2章 小鹿大樹

「なあ、いいだろう?」
「はい、驚きました」

小鹿はそれらを黒い書類箱にしまうと、「飲むか?」とブランデーを取り出した。

「親父がな、骨董屋をやっていたから、家にはこういうものが沢山あったんだ」

彼はグラスにブランデーを注ぐと。有田にそれを勧めながら、子供の頃の話を語り始めた。

「まあ、いろんな奴が家に出入りしていたよ。税務署の役人もいれば、高校の校長もいたし、ヤクザもいたよ」
「ヤクザもですか…」
「怖がることはない。こういうものを見る時は、ただのスケベだからな、ははは」
「そ、そうですか」
「そんな訳で、俺も子供の時からスケベになった。遺伝かな、いや、病気だ。あははは」

頭を掻いて笑う小鹿は善人のようにも見える。

「どうやらお前も俺と同類のスケベ人間のようだな」
「いえ、私はほんの少しスケベなだけで」
「ははは、面白い奴だな、お前は」

銀行員の習性から、有田は心の中では「君子、危うきに近寄らず」と警鐘を鳴らしていたが、ブランデーを呷って笑い、こんな話をする小鹿にどんどん惹きつけられていく。

「俺はこんな人間だ。お前とは気が合いそうだ。これからもよろしくな」
「ええ、まあ…」
「まあ、飲め」
「はい」

差しつ差されつ、酔いの回ってきた有田は小鹿に対する警戒心も薄れ、しこたま飲んでしまい、そのまま泊まることになった。
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