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第53章 帰省

「優香ちゃん！ 私もなの！ 私も二人目なんだよ」

驚きのあまり、押さえてた手が離れて自由になった絵里ちゃんが優香ちゃんに駆け寄りながら言う。

「やだ、もうっ、二人ともそれならそうと早く言いなさいよ」

「言おうと思ったんだけど、彩華が彼氏連れて帰ってきてるって聞いたからそれどころじゃなかったんだよ」

いやいや、妹の彼氏のことよりも初めての子供の方が重要でしょう。

「うちは、絵里がまだ安定期じゃないし、もう少し後にしようかと思ったのに…」

と隆兄が嘆いてる横で絵里ちゃんが「今のところ、問題ないんだし大丈夫だよ」と言いながら背中をバシバシ叩いている。


「今日はおめでたいことが続いたからご馳走作らなきゃ。雅之さんも一緒に食べてね」

「はい、お言葉に甘えて」

「それじゃ急いで買い出しに行かなきゃ。隆也、将也、大和行くわよ」

そう言うとお母さんは息子三人を連れて買い出しに行った。残されたのはお父さんと、兄のお嫁さんたち、花ちゃんと私たち。
基本的にお酒入ってなければ無口なお父さんは自室へ戻り、絵里ちゃん、優香ちゃん、花ちゃんはリビングに行く。


「本当に慌ただしくてすみませんでした」

誰もいなくなった和室でそう謝ると頭をポンポンと撫で優しく笑う。

「これでも緊張はしてたから、最後なんて和めて良かったよ」

「……それなら良かったです……荷物置きに、部屋行くんですけど、一緒に行きます？ 」

答えなんてわかってるけど、そう聞けば「もちろん」と返事がして、二階にある自室へと一緒に向かった。