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燿子〜追憶のLesson〜
第6章 Episode 5
素直に嬉しかったわ。

こんなに褒められたこともなかったもの。

夫はとうに空気みたいな存在だったし、ましてや褒めてもらうことなんて皆無。

いっぱいお世辞はあったと思うけど、サトシ君の真剣な眼差しに気圧されちゃった。

その時以来、私もサトシ君のことが気になりだしたの。

気になりだした、くらいじゃないわね。

サトシ君のことを一番に考えるようになったの。

そして私の中の「オンナ」を意識するようになったわ。

もしかするとそれはずっと前から燻っていたのかもしれない。

いつか点火される日を待っていたのかもしれない。

私がそれに気づいていなかっただけなのかもしれない。

しかし今、そこに小さな、けれど確実な「火」が点いたの。

こんな歳になって、そんな自覚を持つとは思わなかったわ。

けれど、一旦点火したものは簡単には消えなかったわ。

消えるどころか。。。
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