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女忍者(くのいち)は誰かを好きになれるのか。
第1章 一里塚で
4
 
「あっ、ああ、これね。手裏剣はこうして打つのよ」

「なんだ、おめえいつの……」と、男が言い終える前に小夜は男の脇差を彼に放った。打った脇差がザッと音を立て男の足元に突き立つ。
「ひっ」という声のあと男が腰を抜かしたように後ろに尻もちを着いた。

 右の臀たぶにチクリと刺激を感じた。
 
「えっ……」
 
 痺れのような感じに身体が包まれる。フワリと身体が宙に浮いた。忍者の小夜が高い場所から転落することなど珍しくない。小夜は松の枝に手を伸ばそうとするが身体が自由にならなかった。小夜は雑草の生い茂る地面に引かれるように落ちていった。
 
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