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わたしの心が消えるとき
第9章 闇の向こう
人はなぜ、暗闇を恐れるのか。

見えない事そのものが人を恐怖に陥れるのか。
闇の中に見えない敵の脅威を感じるのか。

しかし私にとって、黒い闇は恐ろしくない。
それは私の姿を敵から隠し保護してくれる役割も果たすからだ。
暗闇で見えなくても、自分の存在は確かに感じる事ができる。
そして暗闇は、永遠に続く事はない。
いつか必ず明ける時が来る。

私が最も恐れるのは、白い闇…

見渡す限り、真っ白な世界。
そこには、黒い闇のような私を包み込む優しさも暖かさもない。
私の全てを裸にして、 冷たく突き放す絶対零度の世界。
見えない敵の前にさらけ出され、身を隠す術もない。

そして私は今まさに、白い闇の中で震えている。
いつ終わるとも知れぬ白い地獄で…


(倉橋ほのか著『闇の向こう』より)
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