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風俗ごっこ
第6章 6 本番の無いソープランド葵
 ここは怒るところなのに、怒りを面に出す事が出来ない。

「知らないで見られていたと思うと、なんかちょっとむかつく」

「でも、俺が見てない方が感じた事も事実じゃないのか?」

 ちょっと図星過ぎて返す言葉がすぐには見つからない。でもムッときたと

同時に一部始終を見られていたと言う事は、あたしがかなり積極的になって

いた事も見られている。どうしよう。誤解されるのも困る。ああ、誤解って

なにを?

「大介に対してあんなに積極的に仕掛けていくとは俺も予想外だった。あれ

は俺に見られてないと言う安心感からで、大介に対して本当は何時もああし

たかったと言う事かい?」

 やっぱり誤解している。いや誤解ではない本当の事なのだ。

「あの、あなた間違わないでね」

「間違うもなにも、見たまましか分からないから。葵の方からキスをしてい

って、俺にした事もないディープスロートで一度目の射精に追い込んで、二

度目は二人同時のフィニッシュだ。大介はずっと葵の締まりが良いと口走り

ながら悶えていたけれど、あれはどう言う意味なんだい?」

 やっぱり誤解している。あたしの中に挿入させたと勘違いしている。夫は

冷静なんじゃない、誤解して怒って、その怒りを必死で押さえているのだ。

無理もない大介はずっとそう思っていたし、あたしもそれをわざと否定しな

かった。
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