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独占欲に捕らわれて
第4章 予想外
「で、なにがあったわけ? ずいぶんと動揺してるっぽいけど」
唐突に言われ、千聖の肩が大きく揺れる。
「……どこから見てたの?」
「険しい顔でスマホを見てるところから」
(……ということは、大声上げたのは見られてなかったのね、たぶん……)
千聖は自分の都合のいいように解釈すると、紅玲の顔を真っ直ぐ見つめる。

(コイツ確か金持ちなのよね……。若い男は苦手だけど、背に腹は変えられないか……)
「チサちゃん?」
「え? あ、なに?」
紅玲から金を巻き上げる算段をしていると、急に顔を覗きこまれた。
「大丈夫?」
「うーん、ちょっとね……」
千聖はわざと言葉を濁し、目をそらす。

「アイス食べたら、一緒にごはん食べに行く? 個室の方が、話しやすいんじゃない?」
(しめた……)
紅玲の提案に、千聖は内心ほくそ笑む。
「いいの……?」
「もちろん。オレにできることならなんでもしたげるよ」
「ありがとう、今とても心細いから嬉しい」
千聖はそう言って微笑んでみせる。

「じゃあ決まりだね。ちょっと予約してくるよ」
紅玲は席を立ち、外へ行く。
「ふぅ……。私としては助かるけど、あんなにあっさり騙されて、よく生きてくれたものね……」
千聖は不思議そうな顔をして、外で電話している紅玲を見る。

「おまたせ、ちゃんと予約できたよ」
電話を終わらせて戻ってきた紅玲は、無邪気な少年のように笑顔で言う。
「ありがとう、助かるわ」
「どういたしまして」
ふたりはアイスクリームを食べながら他愛のない話をし、食べ終えると外へ出た。

「ねぇ、あなたが予約したお店ってどこにあるの?」
「電車で2駅乗って、少し歩いたところだよ」
紅玲はそう答えると、手を差し出した。
(繋げって? ……仕方ないわね)
千聖は渋々紅玲の手を握る。骨ばった大きな手に、彼が男性だったことを思い出す。紅玲は満足げな顔をして歩き出した。

駅に着くと帰宅ラッシュで混雑している。
「うわぁ……やっぱりこの時間って人がすごいね……。オレ、基本的この時間家に篭ってるから忘れてたよ……」
気弱な声に横目で見れば、紅玲はげんなりした顔で人混みを眺めている。
「人混み苦手なの?」
「んー……、まぁ……。でもそんなこと言ってられないしね。行こっか」
改札を抜けてホームに行くと、ちょうどお目当ての電車が来た。
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