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独占欲に捕らわれて
第4章 予想外
「……全部お見通しで連れてきたの?」
「まぁね。だってチサちゃん、オレのこと嫌いでしょ? なのにアイス屋さんでオレのお節介素直に受け入れたし、同じ席に座っても文句を言わなかった。それどころか、こうしてオレに相談を持ちかけてきた。ということは、裏があるって考えるのは自然なんじゃない?」
紅玲は笑顔を崩すことなく、見抜いたものを語っていく。

「そこまで分かってるなら、なんで……」
「チサちゃんが好きだから」
あまりにもストレートな言葉に、千聖は固まる。
「オレは、チサちゃんが運命の人だって信じてるから」
千聖は茶化そうとしたが、紅玲の表情は真剣そのもので、とても茶化せる雰囲気ではなかった。
「運命の人が、こんな取引持ちかけるかしら?」
茶化すかわりに、嫌味ったらしく言った。

「それはチサちゃんが本気で困ってるからでしょ?」
「あなたって……」
「まぁまぁ、嫌味言い続けても仕方ないでしょ? 取引の内容決めよっか」
紅玲は千聖の言葉を遮ると、メモ帳の白紙のページを破り、ボールペンと一緒にテーブルの真ん中に置いた。

「……そうね」
紅玲の思考など到底理解できるものではないと悟った千聖は、渋々うなずく。
「千聖ちゃんは明日休み?」
「え? まぁ、カレンダー通りの休みだから休みだけど……」
「じゃあ明日借金返しに行こっか」
サラリと言う紅玲に、千聖は目を丸くする。

「ずいぶんと急ね……」
「あ、もしかして明日用事あった?」
「いや、ないけど……」
「それなら話の続きするよ」
紅玲は気を取り直すように水を飲むと、もう一度千聖に視線を戻す。

「メールからして、チサちゃんはこっちに出てひとり暮らししてるっぽいけど、それであってる?」
「えぇ」
「それなら実家の近くにある闇金だろうから、明日はふたりでチサちゃんの実家に行こう。それで……」
「待った!」
千聖は紅玲の言葉を遮り、あからさまに嫌そうな顔をする。

「なぁに?」
「実家に行こうって……。あなたも来るの?」
紅玲は一瞬キョトンとしてから、小さく笑った。
「さすがにオレは外で待ってるよ」
その言葉を聞いて、千聖は胸をなで下ろす。
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