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独占欲に捕らわれて
第1章 困った親友
要約すると、優奈が同棲しているマンションに帰ったら、彼氏がAVを観ていたらしい。それが原因で喧嘩をした翌日、彼氏はそのAVに出ていた女優と似た系統の女性と仲睦まじく食事をしていたのだという。

「不潔よ! 当てつけよ! なに!? 私が童顔だから? 胸が小さいから? どんな理由にしろ、ありえない!」
優奈は何杯目か分からないカシスオレンジを飲み干すと、声を張り上げた。店内の人々は、何事かとふたりを見る。
(まったくもう……)
千聖はため息をこらえ、財布を出した。

「優奈、カラオケ行こ」
「行くー!」
優奈は片手を突き上げ、だらしない笑顔で賛同する。千聖は足早でレジに行くと会計を済ませ、優奈の手を引いて居酒屋を後にした。

カラオケ店に着くと、千聖は優奈の十八番曲を入れ、彼女にマイクを握らせる。優奈は泣きじゃくりながら歌う。……正確には、叫んだ。

(そういえばヨシさん、いくらくれたんだろ?)
泣き叫ぶ優奈に背を向け、カバンに入ったまま、封筒を開ける。折りたたまれた万券を数えた。
(1、2、3、4、5……。5万円!? ヨシさん、くれすぎ……)
きっと予定通り、外泊の代金を用意して、そのままくれたのだろう。そう思うと、いたたまれなくなった。
(ま、返そうとしても受け取ってくれないだろうけど……。なんかプレゼントでも買おう)
千聖は心の中で義和に手を合わせると、失恋ソングをいれた。優奈が失恋した時は、こうして失恋ソングをたくさん聴かせ、たくさん泣いてもらうのが1番だ。

結局カラオケは、閉店時間である5時まで続いた。
「ありがとう、千聖! 少し元気出た」
「そ、そう……」
吹っ切れた笑顔の優奈とは対象的に、千聖はげんなりした顔であくびをしている。

「じゃ、お開きってことで……」
「お礼にご飯ご馳走させて。確かこの近くに、24時間ファミレスあったよね」
優奈は鼻歌を歌いながら千聖の腕を引っ張っていく。
「勘弁して……」
「何食べようかなぁ」
千聖の言葉など聞く耳も持たず、優奈はファミレスに彼女を連行した。
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