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官能小説家のリアル
第3章  決心


 愛情があるから、セックスで結ばれるのが嬉しい。
「仕事、忙しいの?」
「ん……。ちょっとね……」
 もう少しすると年末進行に入る。
 年末年始は印刷所が休みになってしまうため、来年の分まで十二月半ばまでに仕上げなければならない。
 美波のように複数の雑誌に関わっていると、余計に大変。
 一日に何度もスケジュールを確認し、時間刻みで作品を仕上げなくてはならない。
 それでも、手は抜けない。
 手を抜けば、すぐ読者に分かってしまう。
 BL小説を読むのは、年齢層が高め。美波より年上の女性達が殆ど。そんな彼女達のBL歴は長く、目も厳しい。
 手を抜けば、作風が変ったかとすぐ気付かれてしまう。
「あんまり根詰めるなよ?」
 美波にとって、直哉といる時間は癒しになる。その時間仕事をすればページは進むが、それだけでは心が持たない。
「直哉、好き……」
 美波は彼の背中に腕を回し、その温もりを確かめる。
「どうしたの? オレも好きだよ……」
 その言葉で、余計に癒されていく。
「美波? 考えてくれた? 一緒に住むこと……」
「ん……。もう少しだけ、待って……」
 直哉が頷いたのを、美波も感じていた。
 今は考えることが多すぎる。後回しにして悪いが、直哉は逃げたりしない。仕事と違って。
「美波……」
 顔を上げると、唇が触れ合う。
 舌を絡め合った後、美波はまた直哉を受け入れた。


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