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官能小説家のリアル
第4章  戸惑い


 そういう意味じゃない、と美波は言えなかった。
 飯野がウエイターに何か注文すると、少しして美波の前にカクテルが運ばれてくる。
「綺麗……」
「そうですよね。味も、気に入ってもらえるかと」
 飯野のロックグラスと合わせてから、美波は一口呑んでみた。
 ジュースの味だけで、アルコールを感じない。
「美味しい……」
「バレンシアというカクテルです」
 オレンジ色が綺麗なカクテル。
 美波は小説のために名前をメモしておきたいと思ったが、ここでスマホを出すのも悪い気がしてやめた。
 薄暗い中で、軽いスポットライトが当たるテーブル。そこでのカクテルは、余計綺麗に見える。
 直哉は、こういった店が苦手だと言っていた。美波もこれまで縁が無く、小説に書く時はネットで調べたことばかり。
 体験すると、また深みが出せそうだと感じた。
 問題は飯野。恋人について誤魔化してしまったせいだと、美波は反省した。でもそれは、恥ずかしかったせい。
 飯野に“興奮する体位”など訊いた後では、美波自身も直哉とのセックスが日常的だとは言いづらい。
「何か他に、ご質問はありますか? 体位以外で」
 最後だけを小声で言い、飯野が低く笑う。
「いえ……」
 あの時は精神的に切羽詰まっていたし、騒がしいファミレス。だから訊けたが、ここでは絶対に無理だと思った。
 照れ隠しにカクテルを呑むと、飯野が次を注文する。
「いえ、私、もう……」
「僕が、嫌いですか?」
 真っ直ぐに見つめられ、美波は視線を落とした。
 嫌いというわけではない。紳士的でいい人だと思う。
「あの、私……」
 言いかけた時、新しいカクテルが届いた。


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