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官能小説家のリアル
第5章  関係


 ドアのインターフォンを押したが、応答が無かった。
 どこかへ出かけてしまったのだろうか。そう思ったが、美波はドアの横に寄りかかって待ってみた。
 一時間経ったが、彼は戻らない。
 もう一度インターフォンを押してみたが、諦めてマンションを後にする。
 今、直哉はどこで何を思っているのだろう。それを考えると胸が痛む。
 それは直哉も同じだった。
 美波のマンションへ着きエントランスのインターフォンを押したが、応答が無い。
 慌てて番号を間違えたかと思い、何度か押してみた。
 それから外へ出て、植え込みのレンガに座る。
 美波が、自主的に外出することは少ない。食事はデリバリーで、買い物はネット。
 それを知っている直哉は、無視されているのかとも思った。
 それでもいい。話さえ、聞いてもらえれば。
 同じことを思いながら、二人は別々の場所にいた。


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