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ひと夏の恋……そして……
第16章 すれ違う気持ち
真剣な話をしているのに嘲笑う。

「違うよ。そんな事思ってないから」

「だった何だよ!!!和泉に似た男連れ込んで!抱き合ってキスして!!俺と電話で好きだと愛してるだのいいながら笑ってたんだろう!!」

今度は夏樹が私の肩を痛いほど握り身体を揺さぶった。
その夏樹の目にはキラリと光るものが見えた。
あの時も泣かせてしまった。
一番大事な人なのに、私の軽率な行動で2度も傷つけてしまった。

「夏樹、ごめん。本当にごめん。だけどね――」

「はっ。ごめんか……やっぱりそういうことなんだな――今度こそはと思ったのは俺の幻か、俺の勝手な妄想か」

肩を掴んでいた手の力は抜けて、温もりも消えた。
それと一緒に、私に向いていた怒りも消えた。
それは私の気持ちが通じたんじゃないことぐらいわかる。
ただ、すべてをあきらめた、そんな感じだった。

「夏樹!誤解しないで。私が好きなのは――」


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