この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
没落お嬢さま
第17章 第十六夜
第十六夜
そして、旅行が終わった日、亮生の一家は、その日の昼間のうちから、屋敷へと帰ってきた。
旅行帰りだと言うのに、彼らは、ちっとも落ち着こうとはしなかったのだ。
今夜は今夜で、この屋敷内で、亮生の為に、豪勢な誕生パーティを開いたのである。
いずみも、使用人の一人として、そのパーティの準備には、たっぷり使役されたのだった。
全く、慌ただしい一日となったのである。
パーティが終了して、ようやく静かになったのは、真夜中近くになってからだ。
その時分に、いずみは、急に亮生の部屋へと呼び出されたのだった。
いつもの夜9時からは、はるかに遅い時間である。
夜食も持ってこなくてもいい、と言われたのだった。
いずみは、身一つで、亮生の部屋に顔を出したのだ。
中では、上機嫌の亮生が待っていた。
彼は、すでに堅苦しい礼装は脱いでしまい、ラフな姿になっていた。
渡航帰りの上、今夜の主役として、たっぷり持てはやされていた為、彼はだいぶ高揚していたようだった。
赤らんだ顔も、まだ、そのままなのである。