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お嬢様は幽霊執事にお困りのようです
第2章 2
 握られている手が痛くなるほど、彼は私の傍を離れたくないと伝えてくる。

 私と出逢うまで、きっと彼は誰にも見つけられず、何日も何年も途方に暮れる程の時間を過ごしたことだろう。

 表面上はそんなこと分かっていた筈だった。

しかし――彼からすればそれはこんなにも渇望する事で、こんなにも必死になる事だと。そんなこと私は、考えもしていなかった。

「お嬢様お願いです。どうか私を傍においてください。

 もう少し、数カ月、いえ、数日でも構いません。貴女を諦めきれる日が来れば、私は自ら離れます。飽きたら捨てても構いません。ですから、どうか――」

 やめてよ。

「どうか私を放り出さないでください!!」

 そんな顔しないでよ。そんな泣きそうな顔しないでよ。そんな顔で卑下するような言葉を言わないでよ。
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