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お嬢様は幽霊執事にお困りのようです
第2章 2
 ――改めて頭を下げる初音を見る。

 思えば私に何か不利益があるだろうか? 確かに襲われたのは駄目だ。
ああいう事をいきなりしてくるのはどうかと思う。だけど、こんな綺麗な執事に憑かれてなんか私に不利益ある? 目の保養じゃん。

 本人がこんなに言ってるんだ......。違うとハッキリ分かれば諦める事もあるかもしれない。だから――。

「......分かったわよ」

「......お嬢様......?」

 彼の頭が上がる。泣きそうだった瞳に少し驚きの色が灯る。

 本当に――表情豊かで飽きることないな。なんて、思いながらも私は彼から視線を反らした。

「分かったからそんな泣きそうな顔してんじゃないわよ、情けない」

「お嬢様っ!」

 彼の悲しそうな顔に案の定、また光が点る。こんな顔が見れるなら――暫く傍においててもいいかもしれない。表には出したくないけれど、そんな風に考えた。
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