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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第12章 兎と蛇


「……ごめんね、これ以上されると止められそうにないから、ここでおしまい。」


……自身を牽制するような、切ない表情。


「うん、ありがとうワガママ聞いてくれて。もう満足だよ。」


ふふっと笑いながら言うと、
彼も優しく微笑みながら私の唇にキスを落とした。

甘くて、なんだかくすぐったい。

すると、彼は身体を起こして私の前に右手を差し出した。



「はい先輩。」



……初デートのときと同じ。

きっとこれは、手を繋げって意味だ。
こうされたときのやり方は知ってる。

私は彼の手に自分の手を重ね、
そっと指を絡ませた。
慣れなくて少し恥ずかしいけど。


「恋人同士だから、こっちが正解なんでしょ?」
「うん、よくできました。」


彼がいたずらに笑う。

そのまま私の手を離さないように、
彼はゆるく指に力を込めた。

……心地良い体温。



「じゃ、皆のところに戻ろっか。」



彼の言葉を合図に、
わたしは白馬くんの手に引かれながら歩みを進めた。

はぐれないように。
この人は私のだよって見せつけるように
お互いに手をつなぎ合う。


嫉妬心は、どこにもない。


















────「ひょわぁぁぁあ末吉デス〜〜〜!!」


金閣寺を満喫したあと、
みんなで清水寺にやってきました。

せっかくなので
おみくじを引こうってことになったんだけど、
フリが膝から崩れ落ちた。

末吉か、微妙に嫌なやつだね。


「蛇塚さんはどんな感じ?」


私の隣で
じっとおみくじを眺める彼女に聞く。

すると、彼女は私の方を向き、
笑顔で元気に答えた。



「見てユイさん、凶ですわ!」

「凶かぁぁぁ。」



まさかのフリより悪い結果。
なのになんで嬉しそうなんだろう。

チラリと彼女のおみぐしを見れば、
凶なだけあってネガティブな内容ばかり。


「『突然の災いが降りかかる恐れあり。心して過ごされよ』……って、なかなかに怖いね。」

「平気ですわ!わたくし悪い結果の占いは信じない主義ですの。それに、今が凶ならあとは運気が上昇するだけよ。」


ふふっと彼女が笑う。

蛇塚さん強いなぁ。
全く動じてる様子がない。

ちなみにわたしは中吉で、うさは小吉。


……と、来れば、
なんとなくもう一人の結果の予想はつく。


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