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呟き…
第7章 どこまでが浮気…4
何処かで携帯のアラームが聞こえる。
ベッドから起き上がると歩美さんが
「来夢さんはまだ寝ててええよ。」
と言う。
朝の5時半…。
「目が覚めたから…。」
歩美さんと同じように起きてコーヒーを飲む。
チーフメカニックであるお父さんを手伝う歩美さんは忙しく動き回る。
相馬さんはまだ寝てる。
サーキットに入れる時間はまだ長い。
何も出来ない自分が嫌いや。
「皆んなにコーヒーを配って貰えますか?」
暇そうにする私を心配したキッチントレーラーの人にそう言われるとホッとする。
お父さんの影響で車は好きだ。
でも、のめり込むほど好きじゃない。
お父さんのように、ぼーそーするほどでもない。
コーヒーを渡して回ると、ここに居る人は誰もが本当に車が好きで夢中になってると感じる。
そして、ここでは私だけが外側の人間なのだと思い知らされる。
サーキットに入れば皆んながますます忙しく動き回るから私は邪魔にならないようにと動けなくなる。
建築の世界じゃ出来ない人間がウロウロすれば邪魔どころか事故を起こす危険もある。
臆病で怖がりな私は知らない世界じゃ邪魔な存在でしかないからと小さくなって踞る。
やっぱり…。
自分がわからない世界は苦手だ。
人見知りはそうやって発動する。
こういう時は知ってる人間を探す。
居るはずの無い人を…。
私はまだ悠真を頼ろうとしてる子供のまま…。
最低だな…。
自分が嫌いになる。
最低な気分な私の視線の向こう側にやたらと笑顔の相馬さんが見える。
パドックと呼ばれるエリアから出てピットと呼ばれるエリアに相馬さんは居る。
私はパドックから出られない。