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呟き…
第13章 大ちゃん…無事に飛行機に乗せよう編
藤井さんは申し訳なさげに私に言う。
「航空会社の会員登録でポイントが貯まればラウンジが使えるけど、森本社長は会員ちゃうから入られへんって説明したんですわ。」
航空会社のサービスラウンジ…。
お酒がタダで飲める会員専用エリア。
奈美おばちゃんと藤井さんは北海道に行ったり韓国に行ったりとこの数年、飛行機を使いまくってる。
国外初のお父さんに航空会社の会員証なんか発行されてない。
「こいつらだけタダ酒飲むとか言うとる。」
お父さんが膨れっ面を見せて来る。
子供か!?
呆れながらもお父さんを宥める。
「普通のラウンジに行こうよ。お父さんの好きなだけビールを飲んだらええやん。」
そう言うても
「要らんっ!」
と拗ねモード。
「なんでよ?」
「どうせタバコが吸われへん。」
何処も彼処も禁煙です。
「飛行機でも吸われへんねやろ。俺はもう家に帰りたい。」
早くもホームシック…。
「オッチャン、喫煙ルーム行こや。」
拗ねたお父さんを悠真が連れ出す。
「お母さん…。」
ここは母だけが頼りである。
「大樹さん…、相変わらずやね。」
母方の祖母が苦笑いをする。
母方の祖父母が苦手なお父さん。
この旅行、お父さんにとってはイバラの道にしか感じないのだろう。
「飛行機に乗ってまえば寝るしかないから多分大丈夫やって…。」
お母さんがため息を吐く。
多分…。
あの調子のまま飛行機で暴れられたらハワイで降りる事はなくそのまま日本へ強制送還されそうだ。
喫煙ルームから戻って来たお父さんは何故かご機嫌になってる。
「悠真、なんで!?」
思わず確認する。
「飛行機内は飲み放題や言うたからな。」
悠真がゲラゲラと笑ってる。
飲ませるだけ飲ませて早く寝かせてしまえ。
そんな家族の作戦が生まれる。
何も知らないお父さんだけがご機嫌で
「たこ焼きでも買うか?飛行機で食えるやろ?」
と大阪人が大阪のお土産屋を見て回って喜んでた。