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もしも勇者がラスボスと子作りをしてしまったら。
第1章 いきなりラストシーンです。
それは自身の重さに耐えかねて出来たというより、『意図的』に作られたような大きな亀裂。

おかしい。

薄れゆく意識の中でそんな疑問を思った瞬間、その予想を的中させるかのように、瓦礫が自分たちの身体を避けて真っ二つに崩れ落ちた。

さっきまで圧迫されていた空間が、突如新鮮な空気と、無限の空を得る。

「コルサ様!」

勇者の肩越しに見える青い空から、自分の名前を呼ぶ声。

燦々と降り注ぐ陽の光に目を細めると、ぼやけた視界の中に黒い翼を羽ばたかせる一匹の大きなコウモリの姿。

私の使い魔、ベギラドンだ。

「ベギラ……よくやった……」

私は小声でそう呟くと、勇者の身体の下からそっと抜け出した。

相手は気を失っているのか、そのまま地面にうつ伏せに倒れる。

「……」

ゆっくりと立ち上がった私は、男の横顔を見た。

人間の憧れの存在である勇者とだけあってか、わりと端正な顔立ちをしていることに今更になって気づく。

その整った横顔を見て、思わず肋骨の内側で心の臓がドクンと跳ねた。

私は何をバカなことを意識しているんだ、と徐々に冷静になっていく頭の中でそんなことを思っていた時、突然使い魔の動揺する叫び声が聞こえてきた。

「こ、こ、コルサ様! 何たるお姿を! いったい……いったい勇者にどれほどの屈辱を与えられたのですか⁉︎」

えっ、と私は間の抜けた声を漏らすと自分の身体を見た。

視界には、ふくよかに膨らんだ二つの乳房。

そして砂や汚れまみれになった剥き出しの自分の素肌。

ふとももの内側には、私の中から溢れ出た勇者の体液が、生々しいほどまだその温もりを残したまま流れている。
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