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もしも勇者がラスボスと子作りをしてしまったら。
第2章 僕は勇者です。
二つの山を越えて、さらに鬱蒼と木が生い茂る森の中を進んでいくと、赤レンガが目立つおとぎ話にでも出てきそうな家が現れる。

そう、ここが僕のマイホームだ。

これだけ人里離れた場所にあると、訪れてくるのは人間ではなく、山の動物たち。

あるいは、たまに道に迷ったゴブリン。

まさに、バリアフリーとは無縁の世界にそびえ立つ家だ。

「やっと着いた……」

勇者のくせに疲労困憊な声を漏らすと、馬小屋に相棒を入れて、僕は家の扉へと近づく。

この世界を救った勇者なのだから、住むところなんてもっと便利で大きい家を選ぶなんていくらでもできる。

実際、僕が最初に訪れた国の国王は、魔王を倒したと後に報告に行った際、あまりの喜びに「もうお城あげちゃう!」なんて気前のいいことを言ってくれたぐらいだ。

でも、僕は元サラリーマン。

上司、いやおそらく社長にあたるであろう人物からそんな大それた言葉を頂いても、平社員であった自分が心地良く受け入れられるはずもなく、僕は丁重にお断りさせて頂いた。

それに、僕にはどうしても人間がいる場所で住めない理由がある。

「先に……飲んでた方がいいのかな」

そんなことをボソリと呟くと、腰に巻きつけている小さな道具袋から例の壺を取り出す。

壺の裏側見ると、そこには注意事項が書かれていた。

『適用量を越えて服用すると勃起が戻らなくなる場合があります』

「……」
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